『風立ちぬ』に登場する見慣れないお菓子”シベリア”!!
今回は以前再現した“杉屋の鯖の味噌煮定食”と“杉屋の肉豆腐定食”に続き見慣れないお菓子”シベリア”を再現してみました。
見慣れない形状のお菓子ですが、調べてみたところカステラで羊羹を挟んだ”シベリア”というお菓子であることがわかりました。最近ではあまり見かけることのないお菓子ですが、昭和初期には”子供達が食べたいお菓子No.1″だったのだそうです(Wikipediaより)。
作中では二郎が子守をしながら親の帰りを待っている幼い姉弟にこのシベリアをあげようとして断られる場面があります。非常に印象的なシーンですね。二郎としては好意からの行動だったわけですが、この行動は賛否の分かれるところです。この後本庄に”偽善だ”と断じられていますしね。
まあ、本ブログは料理再現が目的なのでこれ以上掘り上げませんが…。
とにかく昔懐かしのお菓子とのことで、祖父母の世代ではよく知られているようです。一般に男性は甘いものが嫌いだと認識されていますが…。劇中では本庄が普通にパクパク食べてますね。
アカデミックの世界では結構甘いものが好きな人間は多く(脳の栄養になるから?)、本庄もそちらの畑の人間ですから、甘いもの好きなのかも。
時代的にもハイカラなお菓子であるシベリアは、子供だけにとどまらず大人にも人気のあるお菓子だったのかもしれませんね。ちなみに私も成人男性ですが、甘いものは大好物です。
ちなみに、カステラで羊羹を挟むとは言っても、出来上がった状態で挟み込むわけではありません。カステラ生地に直接溶けた状態の羊羹を流し込みます。というわけで、家で作る場合は羊羹を小豆から作る必要があります。
それでは、『風立ちぬ』の”シベリア”を再現していきましょう。
『風立ちぬ』の”シベリア”の再現レシピ!!
『風立ちぬ』の”シベリア”
Ingredients
カステラ
- 100 g 強力粉
- 5 個 卵
- 120 g 三温糖
羊羹
- 500 g こしあん
- 2 本 棒寒天
- 300 g グラニュー糖
- 50 g 水飴
Instructions
カステラ作り
- なかなか家にカステラ型があるということもないでしょうから、型作りから始めます。厚紙や広告紙などとアルミホイルを使って型が作れます。調べてみると新聞紙で型が作れるというサイトがあったのですが、新聞紙だと少し匂いが気になったので使用は避けました。今回作ったものは底面16×16cm、高さ12cmです。
- 卵は卵黄と卵白とに分け、卵白は三温糖を加えてハンドミキサーで泡立てていきます。三温糖は複数回に分けて加えながらしっかりと角が立たせます。
- 卵黄は泡立て器で泡立たない程度に攪拌します。*卵黄にはハンドミキサーは強すぎますので、必ず手動で行いましょう。
- 卵黄も複数回に分けてメレンゲに加え泡立て器で満遍なく混ぜ合わせます。
- 続いてふるった強力粉を3~4回に分けてメレンゲに加えて、ゴムベラで切るようにして(メレンゲをつぶさないように)満遍なく混ぜます。*これで生地は完成です。
- 出来上がった生地を先ほど自作したカステラ型に流し込んでいきます。全部入れ終われば、高めの位置から何度か台に落として、空気を抜きます。こうすることで表面も平らになります。
- オーブンは180度に余熱をしておき、約10分焼きます。その後温度を落として140~160度で30~40分ほど焼いていきます。
- 焼きあがったらオーブンから取り出します。この時、竹串を刺して生地がくっついて来なくなれば火が通っています。再び高い位置から台の上に落とします。
羊羹づくり
- 寒天は事前に水に浸して十分に水分を吸わせておきます。鍋に水500mlとしっかりと絞った寒天を入れて、火にかけてじっくりと溶かしていきます。*寒天は比較的溶けにくいのでじっくり丁寧に溶かしていきましょう。
- 寒天が確実に溶けきったら、一度濾します。もう一度鍋に戻し、グラニュー糖全量を溶かして煮詰めていきます。
- こしあんを加えて溶かしていきます。ここでは自家製のこしあんを使っていますが、市販のものでも大丈夫です(甘さによっては砂糖量を調節した方が良いかもしれません)。
- 少し火を強めて煮詰めていきます。焦げ付かないように木ベラで練りながら、目安としてはさらさらしていた状態からとろみがついてきたくらいです。*とろみがついたかどうかは木ベラですくってみたりするとよくわかります。意外とさらさらでも冷めるとしっかりと固まりますので注意が必要です。
仕上げ
- 先ほど焼きあがったカステラは薄く4枚にスライスします。使用するのは一番外側の層の2枚です(焼き色のついた部分)。大きさは流し型に合わせて切っておきます。
- 一枚を焼き色のついた面を下にして流し型の底に敷き、羊羹を流し込みます。
- 続いて上からもカステラを被せます。カステラが沈むことはあまりないと思いますが、念のため沈まないように注意しましょう。この状態のまま羊羹が固まるまで常温で冷やしておきます。*どうしてもカステラが沈みそうなら、羊羹がある程度固まってから被せると良いでしょう。
- 羊羹が固まれば仕上げに移ります。四辺とも端の部分は包丁で切り落としてきれいに整形します。その後、三角形に切れば完成です。
『風立ちぬ』の”シベリア”を作った感想
と、いうわけで今回は『風立ちぬ』から「ジブリ飯」”シベリア”をつくってみました。
出来上がりがこちら!
素人仕事ですので、どうしても端の部分はキレイに仕上がりませんので切り落としました。こればかりは仕方ない。よく見ると底の生地の方には羊羹が少しばかり染み込んでしまっていますね。これもどうしようもないので見なかったことにします。
味の方は、なんというか不思議な感じではあるのですが、たしかに美味しいですね。”シベリア”、何だか懐かしい感じです。いや、もちろんこれまで食べたことないですし、そんな年齢でもないのですけれどね。昭和初期のことなど何も知らない若造ですが、昔懐かしといった表現が一番ぴったりはまってしまうお菓子です。
それにしても、こういう味を”ハイカラ”というのかしら。和と洋を無理やり合わせこんでしまいました、とでもいう感じかな。悪い意味ではありませんよ。
ただ個人的には何よりも羊羹が好きな人間ですので、羊羹は羊羹のままでいいかな、とも思ってしまったり…。