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「ジブリ飯 」『もののけ姫』"サンの干し肉"を作ってみた!!?通常の3倍の硬さ!!?

『もののけ姫』”サンの干し肉”!!ビーフジャーキーの3倍の硬さ!!?

今回挑戦(?)するジブリ飯は『もののけ姫』に出てくる”干し肉”です。傷ついたアシタカに、口移しで”干し肉”を食べさせるシーンは印象的ですよね。当時、小学校に入学するかしないかくらいの年齢だった僕はあの場面に少し気恥ずかしさを感じたものでした。

ちなみに、恥ずかしながら小学生の僕には初見ではあれが”干し肉”であることがわからなかったのですが(笑)、宮崎監督の絵コンテ(空中庭園)から”干し肉”であるということは確かなようです。さらに、絵コンテには驚くべき情報が記載されており、曰く、なんとも驚くべきことに、この”干し肉”の硬さはビーフジャーキーの3倍なのだそう!!

それなら、あの状態のアシタカが自力で噛めなくても仕方ありませんよね。逆に、数回噛んだだけで、アシタカにも噛めるようにしたサンの顎の力たるや…。さすがは山犬の姫と言ったところでしょうか。

さて、では早速再現レシピに…と言いたいところですが、”ジブリ飯”の場合大抵の場合、まずはそれが一体どのような料理なのかという事を考察する必要があります。『もののけ姫』に登場したこの”ジブリ飯”は、はたして どんな”干し肉”なのでしょうか??

肉の種類は?牛肉で決まり?

さて、ここが最大の論点ですが、”サンの干し肉”、その材料となった肉の種類はなんなのでしょうか?

いや、そんなの牛肉に決まってるじゃないか、と、僕もそう思ってたのです。なんの疑いもなく、当然 牛肉だろう…と。しかし、ネットで調べてみると豚肉だとか、猪肉だと主張している人も少なからずいらっしゃるようでして…。

ですので、”牛肉”であるであろう理由を少しばかり書いてみることにしましょう。

  1. 豚、猪ではない理由
    →そもそも豚は猪が家畜化されたもの。つまり、タタラ場で飼育されていない限り、サンが豚を手に入れる手段はないが、タタラ場に豚が飼われている様子はない。さらに”このままではわしらはただの肉として 人間に狩られるようになるだろう”という乙事主の言葉からすると、まだ豚の家畜化は行われていない(史実上でも養豚、食肉が一般化し始めたのは江戸以降らしい)可能性が高い。また、乙事主と共闘している事から、サン達が猪を日常的に食べている可能性は低い(もちろん生存のための最低限なら別だろうが…)。加えて、モロたち山犬と乙事主たち猪では縄張りが異なり、シシガミの森に猪はいない様子。
  2. 肉の色&絵コンテ的観点
    →作中で干し肉の色は茶~黒の色(僕は初視聴時 木の皮だと思っていました笑)でしたが、基本的に豚や鳥といった肉は干したところでそのような色にはなりません。さらに絵コンテで比較対象として”ビーフジャーキー”が挙げられていることも、この干し肉が同じく牛肉である可能性を補強する要因と言えるのでは(もちろん違うかも)?
  3. 牛である決め手…。
    →もちろん、他にも鹿など野生の草食動物の可能性もありますが、劇中サンたちはタタラ場の人々の隊列を襲います。その後崖下に落ちた牛飼いをアシタカが救いサンとの初対面を果たすわけですが、その際にモロの子が牛を加えて森へと帰っていく姿が描かれています。このことから、サン達がタタラ場の家畜の牛を度々襲っている可能性があります。

正直、今回はこんなに考察するほどのものではない気もするので、この辺りで…

・干し肉の作り方は?アイヌのサッカム!!

次に干し肉を作る工程を考えてみましょう。サンは森の中でどうやって干し肉を作っていたのでしょうか。

サンは塩を始めとする香辛料など持っていないはず。仮にタタラ場を襲い、それらを手に入れられる機会があったとしても、“人間”ではなく”山犬”であることに誇りを持っているサンが使うとも考えられません。火に関しても同様でしょう。身を縮こめなくてはならないほどの寒さの洞窟ですら、火を焚いていなかったくらいですから。

これは”ジブリ飯の考察”というよりは作品自体の考察にもなりますが、実際のところモロはサンに人間として生きる術は一通り教えていると思っています。アシタカのような存在が現れることを予見していたかはわかりませんが、彼のようにサンを人として受け入れる存在が現れた際、あるいはいざ自分たちの身に何か起きた際に、娘のサンが人として生きることも選べるように選択肢を残してあげていたのではないかなぁ…と。

サンは赤子の頃に生贄にされたにもかかわらず、人の言葉を操り、二足歩行し、衣服も身につけ、そして槍や剣と言った道具を使いこなします。これはまごう事なき”人間の行動”です。いわゆる”狼に育てられた少年/少女”とは大きく異なりますよね。そういうわけで、モロはサンに人としての生き方も教えていたのではないかと考えるわけです。アシタカのことも排除しようとしなかったしね。

さて、本題から逸れましたが、”山犬”であるサンが人間の真似事を好んでするなどということはないでしょう。つまり、肉に火を通したり、味付けしたり…などなど。そう考えると、サンの干し肉づくりの工程としてはおそらく捌いた牛の肉を細かく切り分け、そのまま天日で完全に水分がなくなる(ビーフジャーキーの3倍の硬さ笑)まで干すといった極めてシンプルなものでしょうか。

では、それでやってみよう!! …というわけにはいかないんですよね。

さすがに、これでは…。現代っ子的には少し衛生面に心配があるので、今回はこの方法に近いアイヌの乾し肉(サッカム)作りの手法を採用するとしましょう。アイヌでは獣肉は細かく切り分けてから軽く湯がいて、干した上で火棚にあげて、囲炉裏の煙に当てて燻製するのだそうです。

サンとアイヌにはなんの関係もないじゃないかって?まあ、アシタカの方が蝦夷として描かれていますので、今回はこれでご勘弁を(笑)。もちろん、厳密には必ずしも蝦夷=アイヌというわけではないですがね。

では、いよいよ『もののけ姫』の”サンの干し肉”の再現レシピです。

・サンの干し肉の再現レシピ

サンの干し肉

ジブリ映画『もののけ姫』に登場した干し肉。設定資料によると通常のビーフジャーキーの3倍の硬さらしい。アイヌのサッカムの作り方を参考に再現した。
『もののけ姫』
Cook Time 1 day 1 hour
Course Snack
Cuisine Japanese

Equipment

  • 干物用ネット
  • 燻製用網
  • 燻製チップ
  • アルミホイル
  • 鍋(蓋つきのもの!!)

Ingredients
  

  • 1 牛肉 赤身がオススメ

Instructions
 

  • まずは肉を薄切りにしていく。とはいえ、茹でて乾燥させると体積が減るので、あまり薄くしすぎない方が良い。肉の部位は赤身が多いものがオススメ(肩ブロックやももブロックなどが良いかと)
  • 次に鍋にお湯を沸かし、肉をさっと湯がいて火を通す。長く茹ですぎると肉の旨味も抜けてしまうので注意。茹で上がれば、鍋から取り出してキッチンペーパーなどで水気をしっかりと拭き取る。
  • 肉の水気を丁寧に拭き取ったら、いよいよ干す工程に入る。風通しの良く、直射日光を受けない場所に干物用ネットなど設置し、肉を並べていく。並べる際は、肉片同士の間に十分な間隔をあけること!!密集/密着していると乾きにくい部分が出て、傷みやすくなる。ちなみに夏の暑い時期や梅雨時の湿度の高い時期は特に食材が傷みやすいので、冬場に行うことをお勧めする。
  • 半日から丸一日干して、肉の表面が十分に乾燥したら外干しは終了、肉を回収する。この際、肉の表面がきちんと乾いていないと、燻製の工程で酸味やえぐみが出るなど失敗の原因になるので注意が必要。ちなみに干し時間は当然ながら気候/気温によって変動するのであくまで参考程度に。
  • 実は簡単な燻製(特に熱燻)であれば、専用の燻製機がなくとも鍋と足つきの燻製網で代用することができる。やり方は至極簡単で、蓋つきの鍋にアルミホイルを敷き、その上に燻製チップを散らし、燻製網を乗せる。この際、アルミホイルはしっかりと鍋底に接するようにする(そうでないと熱が燻製チップに届かない)。網の上に間隔を取って肉を並べたら、コンロの火を点け、チップから煙が出るのを確認したら蓋をする。これで燻製開始。
  • 蓋をしたまま20分ほど置き、十分に燻す。この間、燻製チップが尽きたり、焦げたりしないように気をつける。燻製チップに関しては完全に個人の好みの問題だが、参考までに今回使ったものはヒッコリー。
  • 十分に燻せたらひとまず完成。そのまま食べても良いし、さらに日を置くほどに、薫香が馴染んでくるので変化を楽しむのも一興。

Notes

ちなみに、設定資料に記載されていたという“ビーフジャーキーの3倍の硬さ”を実現すべく、上の最後の手順から さらに20分ほど燻して徹底的に硬さを追求してみた結果、作中同様に人間の顎では容易に噛み切れないほどの硬度に達しました。
口の中でふやかそうにも唾液すらやすやすとしみてくれず…。正直なところ 木の皮どころか石かと思うほどの硬さで 歯が欠けたかと錯覚しました。
アイヌの人々は、こうして作った乾し肉をそのまま食べる以外に、水で戻して汁物にしたりしていたそうです。私もそれに倣って、この干し肉を水戻しして『ハクメイとミコチ』に登場した”山菜と干し肉のリゾット”なぞにも挑戦してみました。
Keyword beaf, ghibli

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