・『乙嫁語り』の”市場のプロフ”
19世紀後半の中央アジア・カスピ海周辺を舞台に”乙嫁”をキーワドに物語を織り成す『乙嫁語り』。食べ物や服飾などそれぞれの地域の文化が非常に丁寧に描かれている作品です。しかも、文化習俗に関しても作中で明示的・説明的に描かれているのではなく、登場人物の会話などを介して物語世界に自然と溶け込んでいます。よほどきっちりと取材して現地文化を理解した上で、しっかりとした作品世界観を構築されているのだろうな、と思わされます。
そんな『乙嫁語り』より、第十六話”市場で買い食い”にてアミルたちが市場で購入した米料理を作ってみました。この料理については実は 作中では料理名は明かされていませんが、登場人物たちの反応やセリフから、この地域の人々にとって馴染み深い食べ物であることはわかります。
今回作る料理については事前知識が全くなかったので、作中に登場した“ハミ瓜 中央アジア ご飯”をキーワードにgoogle先生にお伺いを立てたところ、なんと結構な検索ヒットがありました。しかも、そのうちの多くのページが『乙嫁語り』に言及しているという事実。検索の結果、今回の再現予定料理はどうやらウズベキスタンの”プロフ”、あるいはウイグルの”ポロ”といった料理に該当しそうだということが判明しました。
・”プロフ”の具材と作り方は…
プロフの基本的な材料は羊肉、玉ねぎ、人参、米になります。他にもオプションで、アンズや干しぶどう、豆やトマトを入れることもあるそうです。
ちなみに作中でアリが主張する”ハミ瓜”を入れるという情報は見つかりませんでした。ハミ瓜というのは、中国ウイグル自治区哈密(ハミ)地区原産のメロンの一種で非常に甘いのだそうです。古くは皇帝への献上品にもなっていたことからか、おもてなしなどの場面には必ず出されるような食材なのだとか。
作り方に関しては作中でプロフ売りのおじさんとアリとのやり取りの中で一通り描かれています。その手順の中で 何よりやってみたいのが、お皿を何枚も使って蓋の代わりにして米を焚き上げるところですね。とにかく、これがやってみたい。この方法が本場のやり方なのか、『乙嫁語り』オリジナルのやり方なのかは不明ですが…。ともかくやってみたい。
基本的にはプロフおじさんの作り方に準じますが、おじさんとアリの意見が食い違った玉ねぎと人参の順序についてはアリの意見に従うことにします。では、『乙嫁語り』の”市場のプロフ”再現レシピです。
・市場のプロフの再現レシピ
市場のプロフ
Equipment
- 平鍋(パエリア鍋など)
- 小皿
Ingredients
- 2 本 骨つきラム肉
- 1/2 個 玉葱
- 1/2 本 人参
- 1 合 ジャスミン米
- 適量 クミン たっぷりと
- 適量 水
- 適量 油
- 適量 塩
Instructions
下準備
- 玉葱は薄切りにする。
- ニンジンは皮をむいて、細切りにする。
- ラム肉は骨から削いで、ぶつ切りにしておく。骨も一緒に炊くので捨てないように。軽く塩を振っておく。
- ジャスミン米はしっかりと研ぎ洗いしてから水に浸しておく。
本調理
- 鍋に油を敷き、ひとつかみの塩を加えて甘みが出るまでじっくりと玉葱を炒める。
- 人参を加えて、満遍なく混ぜるようにして さらに炒める。
- 人参に火が通れば、ラム肉と骨を加える。ラム肉の表面が色づき、ラムの骨に火が通るまでじっくりと炒める。
- クミンをたっぷりと振りかけて塩で調味したら、水をひたひたになるまでたっぷりと注ぎじっくりと煮込んでいく。
- 水に浸しておいたジャスミン米をザルにとって水気を切った上で、鍋に加える。この際水分が足りなければ、適宜水を足す。
- 作中の描写に倣って、小皿をかぶせて蒸すようにして米を炊き上げていく。全体が静かに対流する程度の火加減が目安。一息に炊き上げる自信がなければ、随時米の固さを見つつ火加減、水分量を調節する。
- 水分がなくなり、チリチリという音がし始めたら火を止めて、5分ほど蒸らしておく。火傷しないように小皿を外し、しゃもじでざっくりと混ぜれば完成。
Video
Notes