おせん 真っ当を受け継ぎ繋ぐ

"鱈の先付け3点盛り"作ってみた!!『おせん 真っ当を受け継ぎ繋ぐ』第4話「北の魚の王様ぜ〜んぶ喰い尽くし」より

・”真鱈さんのぜーんぶ喰い尽くし”の始まり始まり!!

さて、今回は『おせん 真っ当を受け継ぎ繋ぐ』第4話「北の魚の王様ぜ〜んぶ喰い尽くし」より”真鱈さんのぜーんぶ喰い尽くし”を作ってみました。今回はその第一弾”先付け三点盛り”です。

『おせん』がタイトルを『おせん 真っ当を受け継ぎ繋ぐ』と改め連載を再開した第2部の始まりは”お頭のてっぺんから尾っぽのはしまで真鱈さんのぜーんぶ喰い尽くし”!!作中では10kg級の鱈を文字通り、身から内臓から全て食べ尽くしています。

ちなみにこのお話は”視聴率の神様”と呼ばれる敏腕プロデューサーに憧れるプロデューサー谷村が一升庵を5分間のTV番組のために取材に訪れるというもの。連載再開の第一弾の題材にTV関連の話を絡めてくるあたり、やはりきくち先生はまだまだ物申したいことがあったのでしょうね。

なにせドラマ化の際はきくち先生は創作活動に支障をきたす(連載休止も)ほどのショックを受けたのだとか。まあ、私はドラマ版は見ていないのでなんとも言えませんが、少なくともドラマ制作に関わった”ごくごく一部の人間”に対して”真っ当であってください。”というコメントをしていらしたことと、タイトルに改めて”真っ当を引き継ぎ繋ぐ”という一文を加えて連載再開されたことは無関係とは思えませんよね。

テレビの取材の申し出を受けてのおせんさんのセリフを引用。

” わっちは別にかまいやせん 真っ当なことをまっとうに伝えてくれんなら それはそれで…”

さて、では本題の”真鱈の先付け三点盛り”です。

“真鱈の先付け3点盛り”!!!!

では”先付け三点盛り”について見ていきましょう。今回の”先付け三点盛り”で使われる部位は主に内臓です。“真鱈さんの腹ん中にゃ酒のアテがそれこそ鱈腹…”という おせんのセリフどおり、真鱈の内臓は酒のアテに最高なのです。捨てる部分が少ない。

真子、あるいは白子に肝、そして胃袋。きちんと処理さえすれば全て食べることができるのです。

“先付け三点盛り”のお品書きは“塩漬けのわらびと真子さんの含め煮”“湯通しした胃袋さんのポン酢和え”“真鱈さんのとも和え”の3品です。

それぞれもう少し詳しく書くと…。

・”塩漬けのわらびと真子さんの含め煮”は、名前の通りわらびと真鱈の真子を含め煮にしたものです。生のわらびでなくあえて塩漬けのわらびを使うことで風味も歯ごたえも良くしているのだそう。

・”湯通しした胃袋さんのポン酢和え”は、シンプルに湯通しした真鱈の胃袋を細切りにしてポン酢で和えたもの。

・”真鱈さんのとも和えは”湯どうしした真鱈の身とエラを肝と味噌とネギで和えたものです。今回の再現料理ではエラの下処理がうまくいかなかったのでエラ抜きで作りました。

さて、ともかく前置きはこの辺りにして、実際に作っていきましょう。

“真鱈の先付け三点盛り”の材料

<塩漬けのわらびと真子さんの含め煮>

  • 真鱈の真子
  • わらび(塩漬け)1週間ほどかかります。
  • 醤油
  • みりん
  • 真鱈の出汁

<胃袋さんのポン酢和え>

  • 真鱈の胃袋
  • ポン酢

<真鱈さんのとも和え>

  • 真鱈の身
  • 真鱈の肝
  • 味噌
  • 味醂

“真鱈の先付け三点盛り”を作ってみよう!!

***以下魚の内臓を扱いますので閲覧ご注意ください!!***

下準備 1 : 真鱈の鱗とぬめりを取る

さて、上にも書いたように珍しく”一尾まるまる”の真鱈さんが手に入りました。しかも、かなりお安いお値段で。普段ではなかなか手に入らないものです。

まずは真鱈さんの体表のぬめりと細かい鱗をとっていきます。このぬめりは深海魚ならではのもので、これこそが臭みの原因です。水を流しながらたわしで、しっかり丁寧に取ります。

作業中はなるべく鮮度を落とさないように、常に冷水の中で作業します。手がかじかみかけましたが、おせんさんの言うところの“拵える側の理屈なんざ二の次”というやつです。これも全て美味いものを食べるため!

ちなみに今回の真鱈さんは約2kgのもの。『おせん 真っ当を受け継ぎ繋ぐ。』に出てきた10kgの大物に比べればこじんまりとしていますが、素人からするとこれでも十分すぎるほど立派。


・下準備 2 : 真鱈の内臓を取り出

お次に内臓を取り出していきます。

真鱈のお腹を開く際には包丁で内臓を傷つけないように気をつけます。肝と胃袋と、それから今回の真鱈さんは雌だったので真子さんが入っていました。あまり大きくはなかったのですがね。

結構写真は衝撃的ですね…。

内臓を取り出したら、流水と塩を使って丁寧に洗っていきます。特に肝はきちんと血合いを取り除きます。幽門垂は塩辛(酒盗)には欠かせない部位ですが、今回は特に使わないし、使いこなせる気もしないので残念ながらさよならしました。

ちなみに胃袋の調理の際には、胃袋を開いて中身を取り出す必要があるわけですが、当然ながら真鱈さんも生きていらっしゃったので、お食事をなさります。

今回はなんと、胃袋の中に丸ままのイカが…。そもそも苦手なんだよね、内臓とかなんとか…。

まあ、そんなこんなでいろいろ心臓に悪い過程を経ながらも、調理は順調に進みます。

このあたりの内臓をキレイにする手順が最大の難所(精神的に)ですから、ここさえ切り抜けられれば後は特に問題なし。お次はこれらの内臓をそれぞれに下処理していきます。


・下準備 3 : 内臓の下処理をする

内臓を美味しくいただくためにはそれぞれ丁寧に下処理をしていく必要があります。

肝は上述の通り丁寧に血合いを除き、流水できれいに洗ってから、たっぷりの塩をまぶして〆ます。真子もきれいに洗って、塩と日本酒で下味をつけておきましょう。胃袋は水でしっかりともみ洗いしてぬめりを取り除きます。このぬめり取りが重要です。丁寧に行いましょう。

とりあえず、これで内臓の下処理は終了です。本調理に入っていきましょう。


本調理 1 : わらびと真子の含め煮を作る

では”塩漬けのわらびと真子さんの含め煮”から作っていきましょう。

まずは塩漬けのわらびの塩抜きを行う必要があります。塩抜きが終わったら、わらびを3~4cmに長さを揃えて切ります。

鍋に出汁(鱈のアラと昆布で取ったもの)と濃い口醤油とみりんを入れて一度煮立たせます。

煮汁が煮立てば、弱火にして塩抜きしたわらびと鱈の真子を加え5分ほど煮ます。長時間煮てしまうとわらびの食感と香りが台無しになってしまうので適当なところで火を止め、冷ましながら味を染み込ませていきます。

ちなみに塩漬けのわらびですが…塩蔵の取り扱いがあるようなお店なら売ってるのだろうか…。売ってないよね、多分。

なので、自分で作ります。作り方はいたって簡単です。

まず、わらびがゆうに入る大きさの鍋を用意して、鍋底に塩を敷き詰めます。敷き詰めた塩の上に、輪ゴムなどを使って束にしたわらび(写真では輪ゴムが家になかったので麻紐を使っています)を寝かせます。さらに上からわらびが隠れるくらいに塩を被せれば準備完了。

あとはおもしをして1週間ほどおいておけばわらびの塩漬けの完成です。1晩もすれば、わらび自身からでた水分でヒタヒタになってきます。


・本調理 2 : 胃袋のポン酢和えを作

おつぎは”湯通しした胃袋さんのポン酢和え”を作っていきましょう。

こちらはすこぶるシンプルな一品です。調理工程としては、茹でて切って和えるだけ。

調理がシンプルである分、丁寧さが要求されます。上でも既に書きましたが胃袋はこれでもかというほどにしっかりともみ洗いしてぬめりを取ります。

表面に軽く塩をまぶして、揉み込み5分ほど置いておきます。その間に鍋にお湯を沸かして、沸騰したら胃袋を入れて湯がきます。熱を入れると大分縮みますね、あまり長時間熱湯にさらさないようにしないと…。

火を通した胃袋は熱湯からあげたらすぐに冷水(日本酒を少量加えておく)にとって冷まします。

細切りにして自家製ポン酢とあえれば出来上がり。


・本調理 3 : 真鱈のとも和えを作る

さて、最後は”真鱈さんのとも和え”をつくりましょう。これが今回、一番手順の多い料理になりますね。

使うものは鱈の肝と鱈の身、そしてねぎに味噌です。作中ではこれらに加えて鱈のエラもつかっているのですが、素人の僕にはエラを適切に下処理することができず…。

肝は塩で〆たあと、あん肝の要領でアルミホイルにつつんで整形して蒸しあげます。あん肝ならぬ”鱈肝”とでも言って良いでしょうかね。”鱈肝”は濃厚ですが、しつこさがなく美味しかったです。

肝の半量をすり鉢にいれて味噌とともにすりこぎで練ります。適宜味醂を加えて伸ばしていきます。これが和え衣になります。

湯がいた鱈の身は粗くほぐし、ねぎも粗く微塵に切っておきます。残り半量の”鱈肝”も粗めに刻んでおきます。先ほどの和え衣で具材を和えてしまえば出来上がりです!!

さて、これで”真鱈の先付け三点盛り”は完成です。完成画像は↓。。

とりあえず今回の再現料理はここまでですが、”真鱈さんのぜーんぶ喰い尽くし”はまだまだ続きます!!

“真鱈の先付け三点盛り”を作った感想

さて…。無事”真鱈さんぜ〜んぶ喰い尽くし”の第一弾”真鱈の先付け三点盛り”が完成しました。

久々になかなかに骨の折れる再現飯でしたね。

記事自体は第一弾の本記事から第四弾の”一升庵特製溶ける煮こごりの真鱈鍋雑炊”の記事まで分けて書いていますが、調理自体はいっぺんにやっているのでなかなかのものです。

まあ、他人の苦労話ほど聞き甲斐のないものはないというもので、そんな裏話はおいておいて…。

どうでしょうね、個人的にはなかなか良い出来だと満足しています。どれも美味しかったですしね。

加えて、魚の胃袋なんて初めて食べたし、そもそも内臓の調理自体初体験。珍味に、珍体験になかなかどうしてたのしめましたね。

さて”真鱈さんのぜ〜んぶ喰い尽くし”再現飯はまだまだ続きます!お次は第二弾”真鱈のお造り&子付けと白子ポン酢&天ぷら”を作る予定です。

興味があればのぞいてみてね。


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