暑い夏に食べたい冷たいお味噌汁!!
『ゲッサン』で連載中の『味噌汁でカンパイ!』が2022年10月号(9月12日発売)にて完結するとのこと。実は『MIX』目的で毎月電子書籍で『ゲッサン』を購入していたのだけれど、これまでこの作品をしっかりと読んだことはなかったのです。だって、『味噌汁でカンパイ!』って少しタイトルが…さ。それに、タイトルからして料理漫画だろうとは思うものの、そもそものジャンルが”味噌汁”ってさ。自分自身味噌汁に対しては”保守的”な方だし、そもそもそんなに広がりがないんじゃないか…なんて思っていたわけです。ねぇ…。
そういったわけで、これまでは たまにチラッと読むくらいで読み飛ばしてしまっていたのだけれど、なんとも勝手ながら”完結”という言葉を目に止め、ふと”一度 ちゃんと読んでみようかな”などと思い立ったのでした。
読んでみると、料理漫画云々の前に作品の雰囲気が良い、キャラクターが暖かい、そしてふんわりほっこりしているのにテーマが結構深い。なんで今まで読んでなかったんだろう、などと思うほどの良作。電子書籍で雑誌系の書籍で特定の作品を遡って読むのって意外と骨が折れるのだけれど、そんなことも構わず、すぐに何年分も『ゲッサン』購入履歴を遡って…。さらにそれ以前の分はコミックスの収録巻を購入して、即一気読み。
なんだろうか、”それが言いたいだけだろ?”なんて言われそうだけれど、ほんとにお味噌汁みたいな作品なんだよな。別にバトル漫画や冒険漫画みたいに非日常で特別な”イベント”が起きるわけではなく、ごくごく普通のどこにでもありそうな日常なんだけれど、なんだかあったかくってほっこりして、いつの間にかずっと読んでいたくなるような。自分の日常の傍に常に持っていたい…みたいな物語。
これまでこの作品をロクに読みもせずに勝手に判断していたのは、まさしく”食わず嫌い”だったなぁ、と。『味噌汁でカンパイ!』には味噌汁に保守的な僕からすると”邪道”とも思えるような味噌汁もたくさん出てくるのだけれど、読んでいるうちに味噌汁の”懐の広さ(八重いわく)”を知るとともに、自分の価値観の狭さと知識の足りなさを反省した次第。というわけで、”食わず嫌い”せずに作品中に登場する魅力的な”味噌汁”を再現して食べてみようと思い立ったのだった。
と、まあ、前置きはこのくらいにしておいて、そんな第一弾は個人的に一番異色に感じた”冷たいお味噌汁”を『味噌汁でカンパイ!』66杯目:「ようこそ!お味噌汁の世界へ!」から再現してみることに。
作品の中では直前のエピソードで海の家を手伝った際に「水なます」という千葉の夏の漁師飯を食べるという出来事があり、八重も善もそこで初めて”冷たい味噌汁”があることを知ります(もちろん、僕も初めて知りましたが)。そこからアイデアをもらって八重が独自に作ってみたのが”ツナときゅうりの冷たい味噌汁”なのですね。
*ちなみに、キラキラとフィーチャーされているお箸は、そのエピソードで善が八重にプレゼントしたばかりの夫婦箸。エピソードが気になる人はコミックス11巻か『ゲッサン』2021年3月号かをどうぞ。
カレー味噌汁の時もそうだけれど、知った知識をすぐに使ってみようとするのが八重のいいところだよね。好きなことって新しいことを知ったらすぐに試したくなるものだからなぁ。八重の味噌汁への愛が溢れている。
八重曰く”あっつーい夏にやっておきたい冷製お味噌汁”ということで、ちょうど夏真っ盛りの今は絶好のタイミング。さて、ではそんな”ツナときゅうりの冷たい味噌汁”がどんなものかみてみましょうか。
ツナときゅうりの冷たい味噌汁
“ツナときゅうりの冷たい味噌汁”…
は、千葉の漁師飯”水なます”にインスピレーションを受けた冷製味噌汁でポイントは、ツナ缶をそのまま入れてしまうことと、出汁を使わないこと。
はい、わかります。結構衝撃的なのだよね。なので、まずここで、僕のような食わず嫌いな人たちのために、美味しいということだけは言っておこう。ちゃんとした感想は後述しますけど、万に一つもこの段階で”そんなの味噌汁じゃないよ”と、この味噌汁との邂逅の機会を失う人がいては困ってしまうのでね。(*作り方詳細は記事下部にあります)
そもそも”冷たい”というだけで、かなりお味噌汁としては異色な気がするのだけれど、さらにツナ缶を油ごと使うという荒技に、読んだ”生臭くないのだろうか?”とか”ツナの油と味噌は合うのか?”とか”出汁を使わないの?”とか”そもそも本当に美味しいのか?”とか…、さまざまな疑問が渦巻いた程度には僕にとっても衝撃的だったこの冷たいお味噌汁。まあ、騙されたと思って食べてみなさい。
材料は、ツナ缶、きゅうり、味噌、水、そして氷だけ。お好みで薬味を足しても良し(作者おすすめはゴマとのこと)。これを一緒に混ぜるだけで出来上がりという、お手軽さも魅力の一つ。
ツナ缶を丸ごと入れることで、出汁の代わりになるのだそう。そして味がぼやけないパンチの効いた風味らしい。ちなみに、冷たいことで塩分は感じやすくなるので濃くする必要はない、とのこと。
“ツナときゅうりの冷たい味噌汁”で朝ごはんを作って食べる。
ということで、こちらが”ツナときゅうりの冷たい味噌汁”と朝ごはんになります。善と八重の食事シーンを見てみると、この日の朝ごはんの他のメニューは目玉焼きにハム(かな?)、ミニトマトにご飯なので、それも一緒に再現。
こんな朝ごはんが食卓にならんだら、暑い夏の日でも一日がんばれそう。
ツナときゅうりの冷たい味噌汁、なかなか目に涼やかでしょう。味噌汁の中の氷の透明感がまた良いです。
そして、お味の方は…と。うん、これはたしかに美味しいな。
ツナときゅうりの相性の良さは推して知るべしですが、作る前に心配していたツナ缶の生臭さも、味噌のおかげなのかほとんど気にならない。ツナの出汁もなかなかパンチがあり、しっかりとした味わい。冷製味噌汁だからこそ良いのでしょうかね。暖かいと少しクセがあるかもしれない。
冷たいお味噌汁ってどんな異色料理だろうか、と思っていましたけれども、本当にすっきりと そしてゴクゴクと飲めてしまうお味噌汁。作中で八重が言うように”暑ーい夏に食べたい”一品ですね。
さて、この”ツナときゅうりの冷たい味噌汁”は善と八重の朝ご飯のメニューですが、同エピソードでは友人の万里、一之瀬らと4人で食べたお昼ご飯も描かれ、そちらではメインのオムライスに合わせた洋風の”トマトとチーズのお味噌汁”が登場します。気になる方はそちらの再現記事もどうぞ
“ツナときゅうりの冷たい味噌汁と朝ごはん”の再現レシピ
ツナときゅうりの冷たい味噌汁と朝ごはん
Ingredients
ツナときゅうりの冷たい味噌汁
- 50 g ツナ缶
- 1/6 本 きゅうり 薄切り10枚分ほど
- 1 大さじ みそ
- 1 茶碗 水 &氷
- 適量 胡麻
朝ごはん
- 1 個 卵
- 2 枚 ハム
- 2 個 ミニトマト
- 1 人前 白ごはん
Instructions
下準備&目玉焼きプレート作り
- キュウリは薄切りにして10枚分ほど用意しておく。
- フライパンに油を敷いて十分に温めてから、中火にして卵を割り入れる。
- 卵の白身が固まってきたら、お湯を大さじ1ほど加えてから蓋をして蒸し焼きにする。
- ハム2枚を盛り付けたお皿に焼き上がった目玉焼きを移す。
- ミニトマトは二つ。
- タイミングを合わせて炊き上げたお米をお茶碗に盛り付ける。
味噌汁を作る
- 大きめの味噌汁茶碗にツナ缶を丸々入れる。この時、碗の真ん中に山なりに置くと後々盛り付けしやすい。また、盛り付けように少量取り置いておくのも良い。*ツナは油ごと入れて良いが、気になるようなら汁気を切ってから使用しても良い。
- 氷を3~4個加える。*このお味噌汁はひんやり涼をとる目的なのでしっかりと氷を入れて冷やす…が、溶けると味が薄くなるのでその辺りはちょうど良い匙加減で。
- 分量の水の一部を使いすり鉢で摺った味噌を、濾しながら味噌汁茶碗に加える。
- 山なりにしたツナを中心にしてキュウリを彩りよく盛り付けていく。
- 全ての材料が盛り付け終わったので、残りの水をちょうど良い加減まで注ぐ。*ツナの一部を取り置いていた場合はここで沈まないように気をつけて盛り付ける。ツナは水に浸ると崩れやすいので、水を注ぎ終わった後に盛り付けするのが吉。
- 最後に好みで胡麻を散らせば出来上がり。