春たっぷりでめしあがれ!
さて、今回ですでに4品目の再現となる『味噌汁でカンパイ!』のお味噌汁。具沢山な一品”アスパラと新じゃがと春キャベツのお味噌汁”を作ってみました(42杯目 : 黒から白 より)。
お味噌汁といえば、懐石料理などで出てくるお上品なものも良いですが、具沢山でそれ一椀でお腹が満たされるようなものもまた魅力的です。今回の”アスパラと新じゃがと春キャベツのお味噌汁”は3種類の春野菜をふんだんに使ったまるでおかずのようなお味噌汁。しかも、じゃがいもが入っているので腹持ちも良いです。
コンセプトとしては”春たっぷりでめしあがれ!”とのことですが、僕の住んでいる地域では春はまだ雪ぶかく、新じゃがの季節は6月頃からで暦としては初夏。そもそもこちらでは春の到来を5月に祝うので、春がひと月ほどしかないのですよね。なので、日本に比べると少し遅めの春(?)の恵みになります。寒冷地であるスウェーデンでは新じゃがは昔は庶民には手の届かない贅沢だったそうです。
もちろん今では、誰もが買える人気の食材ですし、特に6月中旬の夏至祭(ミッドサマー)の食事には新じゃがが欠かせないものとなっています。僕の同僚のスウェーデン人もスウェーデンの全食事の中で最もおいしいものは新じゃがだ、と。茹でても、揚げても、ローストしても、どのように調理しても美味しい、と豪語していました。
春キャベツに関しては、こちらではいわゆる日本の春キャベツは手に入りませんが、春頃から出回るspetskålという面白い形(円錐型?)のキャベツは葉も柔らかく甘い品種で、これがこちらでいう春キャベツになります(写真真ん中)。
アスパラガスはもちろんヨーロッパ圏では長い冬を終え、春の訪れを知らせる食べ物(これはどちらかというとグリーンアスパラガスよりホワイトアスパラガスの話かな??)として、いわゆる”春の味覚”の代表格ですね。
北欧の地で手に入るこれらの”春野菜”を使って”アスパラと新じゃがと春キャベツのお味噌汁”を作っていきます。では、まず”アスパラと新じゃがと春キャベツのお味噌汁”の作り方をまとめていこうかね。
春野菜のお味噌汁
さて、今回もまずはお味噌汁の作り方をまとめておきます。
まず今回の調理で重要なのは食材の入れるタイミング分け。アスパラ、新じゃが、春キャベツでは火が通るのに必要な時間が異なるので煮崩れしたり、色が悪くなったりしないよう鍋に加えるタイミングを調整する必要があるというわけ。
作中の解説では、新じゃがは”水から煮る”あるいは”レンチンでもOK”、ただし”中心まで火が通ったら煮過ぎないよーに”と、一方アスパラガス(根本は皮を剥く)と春キャベツは”完成の直前にさっと煮ればOK”と書かれています。新じゃがは煮崩れないように、そしてアスパラと春キャベツは食感と色が悪くならないように気をつけましょう。
具材が十分に煮えれば、あとはいつもと同じ。味噌を溶いて出来上がり…なのだけれど、今回お出汁についての記載が見つからない。果たしてどうすべきか…(ん?八重ってだしの素使うんだっけ?)。
実際問題、しっかりと煮れば特にキャベツなんかはかなり良いお出汁が出るのですが、今回の書き方からすると一番出汁を使う方が良いかな。作中説明もあまり野菜を煮込まない体で書かれているので、おそらくそういう意図なのかな、と解釈します(詳しくは作り方の項を参照ください)。
ちなみに、新じゃがは風味と食感を味わうため皮ごと使いますが、こちらは”ヤならむいてもいーよ”とのこと。ただ、個人的にはどうしても無理、ということでなければ、是非 皮付きのまま挑戦していただきたい。
“アスパラと新じゃがと春キャベツのお味噌汁”で朝ごはん。
さて、北欧野菜を使った北欧版”アスパラと新じゃがと春キャベツのお味噌汁”を再現した完成図がこちら(作り方は下に続く)。いつも通り、お味噌汁以外の料理も再現してみたのだけれど…
今回のエピソードでは、お味噌汁以外はあまりはっきりとした描写がなかったので、各コマからの断片的な情報を繋ぎ合わせて、おそらく目玉焼きとウインナー2本、そして白ごはんと推測。少々、ボリュームが控えめなような気もしますが、お味噌汁自体が具沢山なのでそれで十分かな…と(実際食べてみたところ十分でした)。
使った卵が小さかったので目玉焼きは二つ。
それにしても、素材の甘みがしっかりと出て、美味しいお味噌汁です。食材の甘みと、”春”ということを考え、定石通りお味噌は赤味噌、白味噌を半々(白味噌の方が気持ち多いくらい)で合わせましたが、適度な甘みでしっかりと素材の味を引き立ててくれたかな。
具沢山なので満足感も十分です。
ちなみに、今回の再現レシピでは少々、自己解釈で少しばかりアレンジしています。
作中では新じゃがを水から煮る/レンチンと書かれていましたが、せっかくなので食材のエキス全てを味噌汁の中に閉じ込めるべく、はじめからお出汁を使ってしまいます。それから、春キャベツも作中のように葉先の柔らかい部分だけでなく、芯に近い少し硬い部分も使った(甘みがよく出る)ので、アスパラガスより先に入れて、ある程度しっかり煮込みました。
では再現レシピを紹介いたしましょう。
“アスパラと新じゃがと春キャベツのお味噌汁”の再現レシピ。
“アスパラと新じゃがと春キャベツのお味噌汁”
Ingredients
- 1~2 個 新じゃが
- 1/2 枚 春キャベツ
- 3~4 本 アスパラガス
- 1/2 大さじ 赤味噌
- 1/2 大さじ 白味噌
- 1 椀分 一番出汁
その他のメニュー
- 1or2 個 卵
- 2 本 ウィンナー
- 適量 塩
- 1 杯分 白ごはん
Instructions
材料の下準備
- 使用する"春野菜"はこちら。新じゃが、春キャベツ、アスパラガス。
- アスパラガスは5cmほどの長さに切る。根本の硬い部分を使う場合は皮を剥く。
- 春キャベツはざく切りにする。芯の硬い部分は避けておく。
- 新じゃがは皮を剥かないまま、くし切りにする。新じゃがの芽取りはきちんと行いましょう。
ウィンナーと目玉焼き作り
- 味噌汁を作る前にメインの皿を準備する。フライパンに油を敷いて、ウィンナーを焼く。この時、ウィンナーに切り目を入れておくと、焼き上がりの見た目が良くなる。
- ウィンナーに焼き色がついたら、卵を割り入れ目玉焼きを作る。
- ウィンナーと目玉焼きを皿に移しておく。
味噌汁作り
- 鍋に出汁を温め、新じゃがを加える。煮崩れなどを防ぐためにも、あまり激しく対流しないよう中火で煮ていく。
- 新じゃがに火が通ってくれば、春キャベツを加え、しんなりする程度まで煮る。
- "春の味覚"ということで味噌は赤味噌と白味噌を合わせて、摺鉢でする。出汁を少しずつ加えてのばしていく。*夏は赤味噌100%、冬は白味噌100%として季節に合わせて少しずつ割合を変えていくのが和食の定石です。
- 出汁でのばした味噌を濾し器に入れて、濾しながら鍋に入れる。
- 煮立たせないように気をつけて味噌を満遍なく溶き、最後にアスパラガスを加えてさっと火を通す。